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水のあやなみ Ⅱの27 [水のあやなみ Ⅱ(ダークファンタジー)]

「形相は透明なセロの弦の響きを見ているようなもの」
と女性は言った
ふと、ぼくであるわたしは思ったことがあった
「きみはRで、同時にRではない」
「ええ…あなたを受けいれとりこんできた…そのような推移を過ごしてきたから…もうわたしは推移を止めることができない.あなたから切り離されても自己展開してゆくでしょう.それが推移の…時の流れの持つ意味だから」
「でも、きみはきみだ…」
「そう…わたしはわたし…わたしではなく、わたしではある」
ぼくの背に、女性は顔を押しあて、手をぼくの前に回してきた.でも、抱きしめるわけではなく、腕を輪のようにして
指が、不思議なからみかたをしている.

どこか蜘蛛の巣を思わせるような…そう、やがて枯れてゆく草たちに張られた蜘蛛の巣に、羽毛をもつ草の種子が揺れている
霧はやがて雨にかわるだろうその野に


「統べることと、力場に吊られてなおあることは違うよね」とぼくは言った
「宙吊りのままの主体のこと?」
「その状態で、主体を疑うことかな」
「うーん」と女性はうつむいて笑った
「あなたの言う主体は、主体意識のことでしょう」
「うん」
「だとすると、それは鏡の迷宮にさまよいこむか、全体性へ限りなく拡散するか…そうなってしまうわ」
「でも…捨象は、要素限定にとどまればそれは思考の死だ」
「死…わたしたちは向こうでは死んでいるのよ…死にながらここでこうしている」
女性の腕に力がこもり、背後からぼくを抱きしめた

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